2010年01月09日
あの日から、もうすぐ四十九日。
ずっと、心から離れないのに、なかなか文字に出来なくて、
こんなに時間が経っちゃったょ。
あなたの最後の美しい姿、みなさんにお知らせしたかったのに、
年も越してしまって。。。
今日も、何度も画面に向かいながらも、もう夜中になっちゃった。
きちんと、文章にできるかな。
私は、いつも本名で呼んでいたけれど、
あなたが大切にしていたブログでの名前は、
「時雨の月ーしぐれのつきー」。。。そのつながりで
広がっていった仲間のみなさんは、
あなたを大切に思っていて暖かい心の言葉が、
今もブログに寄せられています。
私も今日は、時雨ちゃんと呼ぼうかな。
ずっと、私の絵を応援してくれてありがとう。
初めての徳島の時代屋さんでの個展から、
ずっと、応援してくれてありがとう。知り合いのいない初めての地で、
時雨ちゃんと親友のタンコさんと、まるで私も幼なじみのように、
仲間に入れてくれてうれしかった。
ブログで「光の切り絵」を紹介してくれた時、
私のHPのアクセスが急激に上がってビックリしたよ。
時雨ちゃんの詩のような言葉でつながっていった、
人の輪の力に、驚きました。
時雨ちゃんの家族や、友達や、いつも大切な人を個展に
連れてきてくれてありがとう。
「なぁ・・・いいやろぉ。。。だから一度
見せたかったんよぉ・・・あっちゃんの絵。。。」
そんな風に、友達に言ってくれていた、優しいトーンの言葉が、
今も耳に焼き付いています。
自分の作品が分からなくなっていた三年前、その言葉は、
本当に体に染みました。
会うたびに、手作りのピアスで、元気をくれてありがとう。
「あっちゃんのイメージで作ったんょ」と、もらったピアスは、
並べてみたら8つにもなっています。
私のお守りだよ。
昨年の6月、一緒に見に行った、タンコさんちの近くの蛍。
この時もう、余命を告げられていた、時雨ちゃん。
来年もこうして、いっしょに蛍を見に来る事、
笑顔で蛍と戯れる中、みんな心で祈っていました。
昨年の8月、高知県佐川町での影絵展を、
見に来てくれてありがとう。
雨の中、私は作業で走り回っていて、
ほとんど時雨ちゃんとも話が出来なかったの、そしたら、
「来年は見るほうじゃなくて、あっちゃんの手伝いをしたい!」と、
メールくれて。きっともう、
体はしんどかったのに、自分のつらさは閉まったまま、
いつも、私の応援をしてくれてありがとう。
昨年末に開催された、「四国のあかり展」での
光の切り絵の話しが決まった時、時雨ちゃんは、
「私も手作りビーズで、雑貨屋さんブースに参加しようかなぁ!」と言って、
「本当だぁ、一緒に出来たら、楽しいね!」と、
11月の再会を約束しました。
周りに不安や心配をさせない、いつも前向きな明るい
時雨ちゃんでいてくれました。
だから私も、約束は、叶うものだと、信じ続けていました。
この11月が近づいてくると、時雨ちゃんのイメージで
絵が浮かんできます。タイトルは、〈 時雨月のひとしずく 〉です。
月からこぼれたひとしずくが、
水面に落ち。。。いくつものつぼみが花を咲かせるという絵。
時雨ちゃんの優しいひとしずくが、私達みんなの心に花を
咲かせてくれる。そんな絵です。
「四国村」の会場でこの絵を前に、
「これね、時雨ちゃんの絵なんだぁ」と話している再会の時を何度も浮かべて。
そんな絵が出来上がっていた頃の11月6日に届いた、
知人からのメール。定期的な入院で、治療を続けてきた
時雨ちゃんでしたが、体調が悪化し、先の見えない入院に
なっているとの内容でした。親友のタンコさんは電話で、
今の時雨ちゃんの様子を、
辛い気持ちと涙をこらえて、私に話してくれました。
毎日、病室に会いに行っているとの事でした。
「あっちゃんと電話すると泣けちゃうの。泣くとね、
よくあさ目がはれて、
会いに行けなくなっちゃうから、電話に出れなくて…ごめんね」と
メールをもらって、その電話以降、タンコさんと電話で話すことは
ありませんでした。タンコさんは、普段どおりに振舞う
時雨ちゃんの前で、一度も涙は見せなかったそうです。
ほぼ一ヶ月、毎日通った、二人の時間、二人だけの
他愛もない会話と、大切な時間。
他の誰にも分からない、言葉も涙も無くても、
二人にはすべて分かっていた、友情を越えた深い愛情です。
11月18日、私は「四国のあかり展」の為、四国へと向かいました。
時雨ちゃんの体調が相当良くないことを知り、
私は小さな切り絵に自分自身を託し、
お見舞いに行かないつもりでいました。
絵は、タンコさんに渡してもらおう・・・と。
そんな出発の朝に届いたタンコさんからのメール
「今日の時雨ちゃん、気分がいいみたい。。。あっちゃん、くるかい?」
すべてを感じてるタンコさんがくれた、優しいメールでした。
夕方4時すぎ、なんとか明るいうちに、
徳島県の病院に到着。個室の扉を開け、カーテンの先に、
時雨ちゃんがいました。私が病室に入ると、
「あっちゃん。。。」と、体を起こして出迎えてくれました。
私は、病魔が美しい時雨ちゃんを苦しめている、
その姿に会って、気がついたら、抱き合っていました。
明るく話して、いつもの話しをして、またくるねー!と、
帰るつもりだったのに。時雨ちゃんの体はあたたかくて、
やせてしまったのにやわらかくて、
今でもあの優しく包まれた感覚が、残っています。
時雨ちゃんが言います。
「あっちゃん、私、思ったより元気やろ・・・」って。
弱音を言わない強さと、心配掛けさせない人への優しさ。
抱き合っていて、時雨ちゃんからは顔が見えないのをいいことに、
話しをしながら、涙がこぼれていきました。
「ぅん、ほんとほんと。。。会って、安心したょ。」
「あっちゃん、あかり展今回は、行けそうになくて、ごめんなぁ」
「ぅぅん、こうして会えたじゃん。
今度の夏の高知は、手伝ってね。だから、今はしっかりなおさなきゃね」
私のふるえる声を聞き、顔を見る時雨ちゃん。
「あっちゃん、何で、泣いてるぅん。。。」タオルで顔を拭いてくれて。
「ごめんね。時雨ちゃんが、思ったより元気そうで
安心して、泣けてきたんだょ。」
「そっかぁ、それならいくらでも、泣け泣け(^^)・・・」と、
また抱きしめて、頭をなでてくれました。
時雨ちゃんのイメージ作った、小さな切り絵を手渡し、
光に透かして「キレィ。。。...」と言ってくれました。
それから、席を外してくれていたタンコさんが戻ってきて、
三人で冗談も言ってみたり、笑ったりもしました。
ベットに横になった時雨ちゃんとの最後の会話…
きっと、いつもなら報告する、絵の事を話しました。
「春になったらね、初めて山梨で展示会するんだよ。
一生懸命になってくださる人たちとの出会いがあってね、
光の切り絵を、地元のみなさんに見せたい・・・って言ってくれてるの。」
「そっかぁ、楽しみやなぁ・・・。
あっちゃんの絵は、そういう絵なんょ。これからも、
あったかい人たちに出会ってゆける、そういう絵なんょ。」 と、
そう言ってくれました。
自分の未来を嘆くのではなく、人の未来にエールを送れる、
こんな深い優しさに、私は、言葉を失い、涙をこらえていました。
「春になったら、山梨もいくからなぁ・・・泊まりで、ツアー組んで。。」
時雨ちゃんは、お腹から一生懸命に、
全力で元気な声を出してくれていたので、
疲れて、もうすぐ眠りそうでした・・・
「今度の春は、脇町の八百萬の桜、見にくるからね。。。」と、
声を掛けて病室を出ました。ほんの15分くらいの、再会でした。
私は、20日から香川県高松での「四国のあかり展」が、始まりました。
5時半を過ぎ、日が暮れだした頃から、
四国村の古民家の壁に、影絵を投影し始めました。
時雨ちゃんとの交流の場だった、時代屋さんおじさんおばさんも
駆けつけてくれて、カメラマンの小林さんと、
時雨ちゃんと交流があるみなさんとで、
影絵を見ながら話していました。
壁には、時雨ちゃんの絵「月の時雨は、夢の色」・・・
あの手渡しした小さな切り絵を、投影していました。
三日月には、時雨ちゃんが作ってくれたピアスが、
風に揺れていて、ビーズやガラス玉の星空です。
絵の中とおんなじ三日月が、空に浮かんでいて。。。
みんなで、時雨ちゃんの事を思っていました。
その時届いた、タンコさんからのメール。
「今、危篤状態になりました。
ときどき、ほほ笑んでいますょ。 祈っていてね。」
最後の最後まで、見届けているタンコさんからのメールでした。
その数時間後、日が変わった深夜、時雨ちゃんは、
月に帰っていきました。大好きなご主人と、自慢の息子さんと、
かわいい娘さんと・・・愛するご家族に見守られて、
ほほ笑みながら、月へと旅立って行ったそうです。
最後の最後まで、強くて優しくて美しかった、時雨ちゃん。
私が最後に会った時雨ちゃんは、
女神様のようでした・・・肉体は病魔と闘っていたけれど、
その日の時雨ちゃんは、今まで出会ってきた誰よりも、
美しかった。そして、最後に贈ってくれたあの言葉、
わたし、ずっと大切にしてゆきます。
時雨ちゃんがくれた言葉に近づいてゆけるよう。。。
これから、絵と成長してゆきたい、月に帰れるその日まで。。。
ありがとう、時雨ちゃんありがとぅ。。。また、会おうね。
時雨ちゃん作のピアス
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